消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

「レイトン教授と不思議な町」ニンテンドウDS

【商品】
ニンテンドウDS 対応ソフト
オフィシャルサイトはこちら↓
http://www.level5.co.jp/products/layton/index.html


【概略】
英国紳士の主人公、レイトン教授が弟子を伴って
謎多き(そしてナゾナゾ多き)町を訪れる、というストーリー。
大富豪の遺産を巡る物語は大きな謎をはらんでおり
やがて町そのものを取り巻く謎に、
レイトンたちは巻き込まれていく……。

随所にナゾナゾ(設問)がちりばめられており、
ストーリーの進展にも設問に答える必要がある。
必ず解かなくてはならない設問は基本的なものだが
頭が沸騰しそうな手ごわい難問も数多くある。
数学、国語、パズル、引っ掛け問題、
とんちが必要だったり、ちゃんと計算したりと
バラエティ豊かな設問が135個もちりばめられている。

設問全解答後も、WiFiで配信される設問を受信できるらしく、
長く遊べそうだ(受信経験がないのでわからないけれど)。


【内容】
脳トレムーブメントに呼応する形でニンテンドウDSで発売された
オリジナルタイトル。
「謎解き+ストーリー」というわかりやすいコンセプトで現在もヒット中。

ベストセラーシリーズ「頭の体操」の多湖輝先生が設問を監修している。
製作は、ドラクエ8の開発で一躍有名になったプログラム集団、レベルファイブのDS参戦タイトル。
レベルファイブに関してはあれこれ語りたいこともあるが、
個人的に好き。
温かみのあるグラフィックと凝ったプログラミングが得意。
多分ポリシーはない。流行ってるもの、売れそうなものに手を出す傾向が見て取れる。

今回も脳トレ系に手を出したわけだけれども、大当たりと言える。
得意のアニメ調グラフィック、
全年齢対応の敷居の低いインターフェース
それでもコアなゲーマーを見捨てないやり込み要素。

今作はやり込み要素こそ少ないものの、
ともすれば作業になりがちな脳トレ、問題解答の手順を、
謎多き物語、町の探索といったゲーム部分によく取り入れている良作。

なんといっても、グラフィック(絵)がいい。
主人公レイトンを筆頭に、魅力があり、一癖あるキャラクターたちがひしめいている。
問題総数は135問とすごいが、
それぞれに粋なイラストがついていて
見るだけでも楽しい。

すべての操作がタッチペンに集約されていて
一部面倒を感じる箇所もあったけれど
(町の中の移動、メインメニューとか)
ストレスはなく、特にパズルゲームを解く時に
画面に直接書き込みながら考えることができたのは大きくプラス。

計算用紙の削減になっている。
ただ、すべてのナゾナゾが書き込めるわけではないのが疑問だった。

物語、ゲーム展開については特に言うことはない。
さして奇抜でもなく、昔のアニメ調の絵柄どおり、
古きよきフツーのストーリーが展開する。
世界名作劇場とか犬の「名探偵ホームズ」あたりを思い浮かべると
近いと思う。


CM やパッケージを見れば勘違いすることはないと思うけれども
「謎に満ちたストーリーを解く」のではなく、
ナゾナゾに満ちた町で起こる、ある事件をストーリーに沿って進んでいく。
ストーリー自体の謎解き要素は薄い。
ナゾナゾもストーリーに絡んでいないものが大半で
英国紳士が主人公なのに答えが日本語、というケースもしばしば。

もっとも元もとの目的が、
ただ頭の体操をするのも退屈するので、
物語を挿入してみよう、
というコンセプトであり、
当然プレイヤーも頭の体操ついでにストーリーを追っているので
設問にあまり違和感はない(違和感を持つべきではない)。


設問は、ナゾナゾ、というよりは問題と言った方が近い。
「○○はなぁんだ」というようなとんちモノではなく、
数学的、物理学的、幾何学的、確率統計的、パターン分析学的に解く設問が多い。
中には「はぁ!?」と肩透かしをくらわされる引っ掛け問題もあったりして
若干いらっとくるけれども、
そこら辺の頭を柔らかくするのが目的のゲームなので我慢しよう。

マッチ棒を移動させるパズルでは、角度の違いで間違いになったりして
ぶち切れてしまったけれど。


このゲームの魅力を語る前に、システム面を改めて。
謎の町についたレイトン教授と助手のルークは町を移動し
人々と会話を繰り返しナゾナゾ解きを繰り返し先にすすむ。

移動方はアドベンチャー形式。
「歩く」ボタンをクリックすると、進める方向の矢印がでる。
個人的にこれが若干面倒だったけれども(十字キーでさくさく歩きたかった)、
違和感のあるシステムではない。

町の中の各場面に人がいたりネコがいたり。
そして優しい色彩とタッチの町の風景が描かれる。
やぁ綺麗な町並みだなぁ、と観光を楽しむだけでもいいのだけれど

実はここに重要なシステムがある。
むしろ、「これがこのゲームのメイン」とさえ言えるシステムが。

それはヒントメダルと呼ばれるシステム。

ナゾナゾ(設問)を解く際にヒントを三つまでもらうことができるのだが、
そのヒントはヒントメダルと交換しなくてはならない。
ヒントメダルは町中のいたるところに隠されており、
例えばタッチペンで風景の中の窓をクリックすると「ぴこーん」と出てくる。

これが妙なほどに楽しい。

思いも拠らないところに隠されているから町中をつぶさにタッチしまくることになるのだけれど
宝探しみたいでとても楽しいのだ。
ヒントメダル探しのついでにストーリーを進めている、といっても過言ではないくらい。

実際、ヒントが必要となるような設問は半分もないくらいで、
ヒントメダルは過剰にあまるくらいに配置されているのだけれども、
ストーリーが進むごとに(章が進む、感覚)、町の中に新たなヒントメダルがちりばめられるので
またそれを探してクリックしまくる、という不可思議な連鎖。

別にゲーム性があるわけでもなんでもない。
ただひたすらタッチするだけなのだけれど、
狙った場所からメダルがピコーんと飛び出すときの喜びは
人の根源的な面白味を刺激するのかもしれない。

結果、見つけたメダル80枚以上の、半分以上を残しながらクリアした。
もうメダルはいらない、とわかっていながら探してしまう。
本当に不思議なゲーム性である。

町の中にはメダルのほかに「隠されたナゾ」という、
ストーリーとは全く関係ないナゾナゾがちりばめられているのだが
それを探す楽しさもある。

この「隠れたもの探し」が、
実はこのゲームの一番ゲームらしい部分かもしれない。
ただ頭の体操的設問を解いていくだけでは退屈してしまう。
それにストーリーをつけることで「先に進みたい」というモチベーションを上げてくれる。
ただストーリーを追うだけだと、面白味はあるけれどもわりと稚拙な物語なので
これも退屈してしまうかもしれない。

ゲームとしての面白さをちりばめることに、
レベルファイブ(製作会社)は経験的に成功している。
収集と探索は、多分人の興味の根源的なものなのだと思う。

ゲーム中では他にも、
設問に解答することでもらえる
「名画の欠片」
「ナゾのパーツ」
「家具」
があり、収集してバラバラの絵を完成させたり、
ロボット犬を組み立てたりと
飽きさせぬ工夫が随所に見られる。

その上で、脳みそを鍛える、という、
おそらく一番肝の部分はというと、
成果は疑問であるものの、明らかにナゾナゾを解く速度が早くなった。
活性化の証明はできねど、実感として感じられるものはある。

ただ設問を解いて脳を活性化させたい人々には
余計なものが随分ついているものの、
ゲームとして楽しむために、その「余計なもの」が非常に効果的に機能していた。

さて、長々書いて参りましたが、
老若男女に「おすすめ」であります。

そして私は(正確には嫁と二人係でしたが)
隠し問題、超難解問題を含む
全135問中の134問を解くことに成功しました。
(最後の一問だけは、苦手な「箱入り娘」だったので、断念しました)

一人でプレイすれば当然一人の脳が活性化して良いのですが
嫁と二人、得意分野がかなり明確に出て面白かったです。
(その分、苦手分野は任せちゃって伸びませんでしたが)


【おまけ】
約束されたヒットタイトルだったらしく、
ゲーム中で既に続編のことが語られている。
続編のパスワードで開く扉があったり、
あまりストーリーに絡まないライバルが
未解決のまま敗退していく、など
後ろ髪引かれる思いを残す箇所がイヤらしく目に付いた。

ゲーム自体の出来がいいのと
ナゾナゾ解きが楽しいから次回作も楽しみにはなりますが
そんな風に引っ張らなくてもいいのにな、とは思いました。

そんなところに大人の都合が見えるだけで
興ざめすることもありますからね。


さらに難点をいうならば、BGMである。
雰囲気あるBGM(アコーディオン中心だが、KOBAか?)は
全然悪くないのだけれど、最大の問題点。

ナゾナゾを解いている際の音楽が、全部一緒。
135問ですよ? 全部一緒って、芸がないどころの騒ぎじゃない。
耳について相当にイヤになる。
各ナゾナゾにはカテゴリがついてるのだから、
そのカテゴリごとにBGM を。
欲を言えば自分で選べるようにして欲しかった。

ゲーム時間のほとんどをナゾの解明に使い、
平均プレイ時間は130時間に及ぶ(ナゾで悩むため)。