消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

「天元突破グレンラガン(第一部)」GAINAX

天元突破グレンラガン(第一部)」GAINAX

普段は作品レビューするときは一応物語完結までいたってから書くのだけれども
後から知った情報によると本作品は四部構成となっており
たまたま借りてきたところまでで第一部が完了したので

部単位でちょっと書いてみようかと思う。
ということは全四回か……長いな。無いな。

最初にお薦め度合いを書いておくと
このアニメ
第一部完了の現時点では「まだまだ人に薦められるとは思えない」

しかし2007年の、おそらく最高ヒットのロボットアニメであり
2008年には劇場版も公開されている(しかも劇場版の続編も決まっているらしい)。
そして各方面で大絶賛。
特にAmazon のレビューにおいてだが
愛読しているメルマガの作者が絶賛していたのが手に取った最初の動機。


そして第一部分のDVD三枚、第一話から第八話を見終えて……


これは困ったことになった。まだ判断はできない。
とりあえず自分の気持ちを整理するためにも順を追って解説していく。



「第一話」

全27話、四部構成の壮大かつ緻密に練り上げられた叙事詩
物語の冒頭を飾る最重要の回においては、その最終回に程近いシーンさえ使用されているという。
これから始まる13.5時間の大舞台に胸踊りまくる、はずが……

のっけからの置いてけぼりテンション、
画面内をところ狭しと動きまくるキャラ、ロボ、ストーリーに完全に置いてけぼりをくらう。
ジェットコースターを外から見ている感じで当事者たちの勢いやノリに全くついていけない。

GAINAX の実に12年ぶりのテレビアニメ作品、
GAINAX といえばいわずもがなの「新世紀エヴァンゲリオン
時代と次代のエポックをメイキングした制作会社である。

それを期待しすぎた結果は……
エヴァ」や「ガンダム」のようなシリアスな物語を
せいぜい「エウレカセブン」ぐらいのノリであったらついていけるだろう
と想定していた構えは「完全に」打ち砕かれて
吉本新喜劇的なベタノリのギャグアニメであった。

期待が大きかっただけに唖然として地雷を踏んだ感が早くも漂う。
全話見れば13.5時間。社会人にとっては値千金の貴重な時間。
ここで一端家族会議が開かれ、進むか停止するかの究極判決に持ち込まれる。

スティーブン・キングの「IT」を見た関係で
「時間の無駄」という状況に殊更敏感になっていたこともあり
よほどここで停止しようかと思ったものの
Amazon のレビューにて「耐える時間(回)」である事を知り、かろうじて思いとどまる。

第三話、第五話辺りがターニングポイントらしい。
そこまで耐えるのもなかなか辛いが、まずは第三話まで進めなくてはなるまい。



「第二話」

舞台設定を整える途中の回として第一話の延長。同じノリ。
兄貴分カミナの勢いがどんどん加速してゆき以後の熱血傾向を決定付ける回、かもしれない。
まだ視聴者としてついていけていない自分。乗れない。
この、主人公の兄貴分「カミナ」氏がリーダーであり物語の方向性をつけているキーマンである。
この人物が人気者であるようなのだけれど……

熱血
リーダーシップ
締めるとこ締める

といういかにも吸引力あるキャラであるはずなのだけれど……
すべての台詞に共感できない。ぐっとこない。
「アニキー!!」って気分になれない。
やはり乗り損ねてしまうのだろうか。不安が晴れないままDVD 一枚目を終えた。



「第三話」

一つ目のポイント。
テンションが合わなく苦しんでいたこれまでについに光が差す回。
「合体」が登場するのだけれど
かつてみたことも聞いた事もない「合体」に唖然としてしまう。
仰天してしまう。

今後のライバル役となりそうなキャラも登場して
ギャグ・メカ・ハイテンション・アニメとしてようやくなんだかわかった回。
合体のシーンや戦闘シーンがなかなかに楽しく
「ようやく楽しめそうだ」
しかしまだその道には苦難が続く……



「第四話」

グレンラガンファンの間でも相当に問題視されている回。
前知識なしで見てここで「停止」ボタンを押す事となった。
第三話を経てようやく
「あなたのこと、まだ好きかわからない。けれどもやっていけるかもしれない」
見合い結婚の妻のような心境が
「やっぱりダメかも」
とあやうく実家に帰りかける回。

デッサンが荒れ、見るに耐えない絵柄になり、キャラがつぶれ、
なによりシナリオのテンポ、演出のテンポ、台詞のテンポが
これまでのノリから想像できないほどに悪い。

あとでAmazon のレビューを見て「狙って行われた絵柄・演出」であることと
今後はこのような回は出てこない事を知るものの
ここで決別宣言をしてしまった私だった。



「第五話」

ダメだな、このアニメ、と判断しグレンラガン・キャリアを終えるつもりであったのに
運命はいたずらが好きである。
たまたま三連休であったこと。
三連休中日、日曜日の深夜に妙なハイテンションになっていたこと。
名作「TAXI DRIVER」を見て映像に対するひとつの満足があったこと。

いくつもの要素が重なった。
別れたはずの夫のテンションが懐かしくなった。
「ちょっとやかましいのが欲しい」

いくつもの偶然に翻弄される恋のように私たちは再び出会う。
グレンラガンの第五話は、しかし
またまた私の期待を裏切ってくれる。

かましいのが欲しいとつけたのに、なぜか第五話だけ異質なほどローテンション。
とは言っても相変わらず熱血なのだが、若干テーマが重い。
そしてそのテーマの重さを無理やり強調させる演出か、全編モノクロ。

ここでもアニキ「カミナ」の熱血理論が炸裂するが
やっぱり乗れないんだよなー。共感できず納得できず。
本来ならこの辺で「カミナ、いい事言うなぁ」と思っていなくてはいけないはずなのに。

まだ距離を縮められずDVD 第二巻を終えた。



「第六話」

前の話が欲しかったノリではなかったので続けざまに見た。
深夜5時。ていうか朝。20時間以上起きているためのいわゆるランナーズ・ハイ状態。

物語は序盤の「ダレ」の締めくくりとなるお決まりコース「露天風呂」
少年モノのお約束、ヒロインらの入浴シーンのお目見えとなる。

ここでようやくグレンラガンのノリに気がついた。
この読みにくい波のとっかかりを掴む事ができた。
主人公らが訪れる風呂屋が、どこからどう見ても「千と千尋の神隠し」の、あの湯屋

嫁がぽそり。
ケロロ軍曹と同じノリか」

そうか、そうだったのか、それだったのか。
そういえば爆発の効果とかも70年代リスペクトだったし
よくよく思い返すとわかりにくいパロディがちりばめられていた、気がする。

ここから物語りはノンストップに第八話まで突き進むのだが
とにかく中身が濃い。
一話30分に収まっているはずの物語が
二時間とまでいかなくても一時間分は詰まっているようなストーリーの爆走が始まる。

重要なシーンを一枚絵で終わらせたり
冗長に語ったりしないことで物語がぐんぐん進み、
第一部最大の盛り上がりとなるドズル中将(らしき)敵キャラの登場で盛り上がり最高潮。

になるのは第七話以降だった。



「第七話」

ライバルが再登場し、
「四天王」の一人ドズル中将(らしき)敵キャラが登場する。
第八話をもって第一部が完了する、そのクライマックス導入。
前話のお風呂上がりで湯冷めが大変心配なスピードで話が急展開していく。

巨大ロボットがついには巨大戦艦と肉弾戦におよび
戦闘シーンも大変なことになっていく。

ここでも「熱血理論」で
「後ろを見せたら終わり」「進みたいから突き進む」とアニキ節前回のカミナ氏。
……やっぱりひとつも共感できない。
なんかジャイアンぽいのかも(しかもTV版のほう)



「第八話」

第一部、完。
この回ののっけから展開が読め、その通りに展開するのだけれど
それはそれでよし。「意外」ばかりを人が求めるものではなく
「王道」「ど真ん中」を明らかに狙っているグレンラガン、伏線もちっとも隠す気なし、である。
このど真ん中、
実は個人的にあまり好きではないど真ん中……。
人の死で物語りに深みを与えようとするのって、どうしてもやすっぽく感じるのだよな。

エヴァ」はいつもその際にたたされながら、それでもその一線を越えなかったし
その一線の重大さをいつも突きつけていた。
とまたエヴァと比べてしまう悪循環。


派手さ大爆発の大クライマックスをもって第一部が完了する。
DVD 三枚目もここで完了。そして借りてきたのもここまで。


ここで再三開かれてきた家族会議が再召集され
判断を下す事にした。


嫁「もうついてけない。ていうかついていきたくない」
俺「ここまで来たら時間の無駄になろうと気持ちの整理をつけるためにも進む」


ついに別々の道を歩き始めた加藤家。
三十路を過ぎてアニメを熱く語る自分に後ろめたさを感じつつ
次回へ続く。



あと。
エンディングの曲の歌詞が稚拙すぎて書き直したくなる。