消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

やなせたかし氏の言葉に想う

ご存知、アンパンマンの作者やなせたかし氏。
氏の言葉を読んで切なくなった。

氏は戦前戦後で、正義というもの、
価値観がぐるりと入れ替わる体験をしている。
天皇崇拝の軍事国家から民主主義へ。
それまでの正義が正義でなくなる価値観のパラダイムシフト。
戦後アンパンマンを描くにあたって、
「逆転しない正義」に言及している。
献身と愛。
アンパンマンのテーマこそ、氏の見出した真実変わらない価値観だった。

氏のコメントを読んで哀しくなった。
人は一体何度過ちを繰り返せば
まっすぐ歩けるようになるのだろう。
ご先祖様に謝りたくなった。
ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。
いつまでも間違えてばかりでゴメンナサイ。
韓国の反日教育
北朝鮮の独裁教育。
中国では先日、日中国交正常化の象徴とも言われた墓、
大戦時に多くの日本人が亡くなった件の墓を、
反日教育を受けた中国の人々が破壊したそうだ。

教育が如何に大事なものかを、
如何に影響力のあるものかを
氏は端的に指摘している。

世界戦争という大きな過ちを経て、
それでもなお人類が道を誤る理由はなんであろう。
自殺するネズミ、レミングのように、
自ら崖を目指しているのだろうか。

子供の頃見た、未来の世界のビジョン。
空飛ぶ車、なんでもしてくれるロボット、小さなコンピュータと立体映像テレビ。

スマフォと3Dは実現したけれど、
その絵の中で描かれた人間たち、
誰もが笑顔で誰もが幸せそうな風景の方は
どうして実現されないのだろう。
ゴメンナサイ。
正しくなれなくてゴメンナサイ。

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ぼくは優れた知性の人間ではない。
何をやらせても中くらいで、むつかしいことは理解できない。
子供の時から忠君愛異国の思想で育てられ、
天皇は神で、日本の戦争は聖戦で、
正義の戦いと言われればその通りと思っていた。
正義のために戦うのだから生命を捨てるのも仕方がないと思った。
しかし、正義のための戦いなんてどこにもないのだ。
正義は或る日突然逆転する。
正義は信じがたい。
ぼくは骨身に徹してこのことを知った。
これが戦後のぼくの思想の根本になる。
逆転しない正義とは献身と愛だ。
それも決して大げさなことではなく、
眼の前で餓死しそうな人がいるとすれば、
その人に一片のパンを与えること。
これがアンパンマンの原点となるのだが、
まだアンパンマンは影もかたちもない。