消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

おもちゃみたいなヘリで気軽に空撮!【軍艦島】

SONY が、自社製品であるアクション・カムの宣伝用に(と思う)
九州の軍艦島を空撮した動画を公開した。
小型のラジコンヘリに、これまた随分小型に見える、
遠隔操作可能なハイビジョンカメラ「Action Cam」を搭載し
世界最初の鉄筋コンクリートマンション郡であり、廃墟となっている
軍艦島を空撮したのである。

その動画がこちらで紹介されている。
http://himasoku.com/archives/51774335.html


こりゃまた随分すごい解像度ですなー。
ものすごく綺麗。
軍艦島がまず、すごい。
迷宮のような、遺跡のような。
美しい色彩の中では、空中に放置された遺跡「ラピュタ」を思わせるし
薄暗く魔境のように連なるマンション郡の真ん中は、
魔都・九龍城よろしく、禍々しさと陰鬱さを醸し出している。

世界遺産に登録されたりしないんだろうか。
少なくとも100年後には、「古代遺跡」と呼ぶにふさわしい、
経年劣化と歴史背景を背負うことになりそうに思うが。


さてそれにしてもしかし。
SONY Action Cam の凄さである。
見た感じこれ↓ っぽいのだが
http://www.sony.jp/actioncam/products/HDR-AS15/

ビックカメラで28900円で売ってるご様子。
え?
桁間違えてないか、って?
いえいえ、約3万円です。
3万円でこの高画質、この操作性。
操作性はラジコンヘリに拠るところが大きいかもしれないが・・・

やはりこういう動画を見ると思ってしまうのは、
犯罪利用、プライバシー影響のところだろう。
今回SONY が使用したラジコンヘリは実にお高そうだが、
通常のラジコンヘリであれば、安ければ5万以内、
15万円もだせばそこそこのものが手に入る。
こいつは操作が大変難しく、練習と、風を読む力が必要になるのだが
少なくとも練習をすれば
「高層階ということで油断してカーテン閉めずに着替えしているあの娘」
の部屋へヘリを飛ばすことが可能であるわけだし、

例えば・・・ちょっと無理矢理な例かもしれないけれど、
窓際でパソコンを操作してデイ・トレーディングしている御仁のお宅を
ラジコンヘリでちょっと覗き見させていただければ、
パスワードを入力する手の動きをハイビジョン画質に収めることが
おそらくはそれほどの苦労なくとも可能なんじゃなかろうか。
名探偵コナンくん当たりで日常的に使われるネタになりそうだ。

別にラジコンヘリじゃなくてもいい。
別にSONY アクションカムじゃなくてもいい。
小型カメラの高画質化は、おそらく尋常じゃない速度で進んでいるだろう。
それをちょっと、気づかれにくいところに設置するだけで、
少なくとも窓からの盗撮は、遠距離で高画質なものが手に入るだろう。

町中の監視カメラ。
あれも随分高画質化されているのではないだろうか? まだだろうか?
我々が時折ニュースなんかで目にする、コンビニ強盗の動画。
あれを見ていると「うわー、大変だー」ぐらいにしか思わない。
それは、ひどく荒い画質で、個人特定なんてとても出来ないような絵で、
せいぜい身長と風貌しか判別できないようなシロモノだから、
画質は特には話題にならない。
画質が良すぎて、個人特定が容易に出来てしまうような画像だったら
もう少し人の興味を引くことだろうに。


おそらくは、監視カメラの類は、
カメラの性能的に画質が荒いのではなく、
保管しておく映像データの容量を気にして画質を悪くしているのである。
ハイビジョンで表情までくっきり、なんなら毛穴まで見えますぜ、
という高画質画像は、それだけファイルサイズを巨大化する。
監視、保管の観点から見ると、最低限の風貌がわかる画質で、
24時間365日の監視動画ファイルを保管しておくほうが
ハードディスク的にはありがたいわけである。

しかし、ハードディスクの価格下落、容量増加著しい。
コンビニや町中の監視カメラの目的以外の監視カメラであったら
容量をそんなに気にする時代ではなくなっている。

例えば・・・そうだな。
気になるあの子の部屋を監視しちゃってる場合、
仕事帰りの彼女の画像を見ていたところ、
結婚しているはずの彼女の上司が、一人暮らしの彼女の家を訪れて・・・
なんて場面をハイビジョンで取られていたら、
彼女と、それ以上に上司は、
一体どれだけのものを失うことになるのだろう。


ラジコンヘリだって、そうだ。
趣味としてのラジコンヘリは、形状から操作性まで、
実物のヘリを模している。
そのため、扱いも難しく気流にも弱い。
けれども、シュミとしての形状を気にしなければ・・・
目的が「スピード」ではなく「静音、安定性」であれば・・・
ラジコンヘリ」でなく、「小型飛行ロボット」で検索すると色々出てくるのだが
その運動性能と操作性、安定性は半端ないものである。
今後の災害支援時や、人が行けない場所の調査、監視に
大きく役立つものとなるのは間違いないであろう。
http://www.youtube.com/watch?v=fwYoD5VsaTg

監視セキュリティ会社であるSECOM が早速取り入れて
動画を上げてる時代である。
そりゃ、個々人でお手軽に手に入る時代はそう遠くないであろう。


ネットでの個人情報漏えいに恐怖し、
外では監視ヘリ、監視カメラに恐怖する。
我々の時代はやがて、イスラム圏女性の風俗にならって、
少なくとも表では顔を覆い匿名性に紛れ込むような
そういう時代を迎えるかもしれない。
Google が開発中のメガネ型コンピュータでもって、
すれ違うだけで身長体重スリーサイズから、
Facebook アカウントにまでたどり着いて誕生日血液型趣味趣向にまで
一瞬で表示されるようになるかもしれない。

ていうかなるだろう。
それは、要不要はともかく、技術としてはもはや不可能ではない領域にきている。

Google メガネやハイビジョン監視カメラで、
全国指名手配の逃走犯が必ず見つかる時代が来るかもしれない。
それはしかし超監視社会として
人々をいつも緊張させ怯えさせ、
疑心暗鬼の中で生きる時代かもしれない。

技術は、止められない。
誰かが止めても誰かが進めてしまう。
としたら、進む技術に対して国民を守るよう、国や組織が先手を打たねばならないし、
個々人も自らを守るために情報に敏感であった方がいいだろう。
・・・それができないことはTwitter の失言つぶやきの例から明らかだろうが。