消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

Portal とSteam

Portal とSteam


名作という評価を聴きながら、手出しできなかったパズルアクションゲーム、
Portal」をクリアした。
ゲームを何かしらクリアするのは久しぶりだ。
どうしても根性がなくて、止まったままのゲームばかりが積み上がっていく。

そんな積みゲースパイラルの中にあって、
Portal に手を出せなかったのは、別に積みゲーを恐れたからではない。
明白な理由があったからで、高いから、であった。
当ゲーム、出荷数が少なかったとかなのか、プレミア価格がついており、
プレステ3 版の「Portal 2」、価格は一万円を超えていた。
そんなにプレミアがつくもの、となれば尚のこと期待値が高まり、
amazonのほしいものリストに登録したまま日々は過ぎていた。

ふと訪れた機会。
それは既に恒例となった、PC系ゲームのプラットフォーム、
「Steam」での夏の大セールがきっかけであった。


■Steam
まずSteam から語ろう。
私は詳しいわけではないが、私がSteam に興味をもったきっかけ、
構築実施した事項を。

Steam は、PC系ゲームのプラットフォームである。
例えば、ファミコン、プレステ、Wii なんかを思い浮かべると、
それらのゲーム機器はテレビゲームとなっており、
・テレビに繋げる機器(即ち本体)
・本体にセットするソフトウェア(カートリッジだったりディスクだったり)
この2点で成り立っている。

Steam は、このうちの本体に近い位置づけ。
パソコン上にゲーム機本体を持つようなイメージだ。
もちろん物理的な機器ではない、WindowsMac などで動くアプリケーションだ。
まずその無料のアプリケーションをインストールする。

そして、ソフトウェアを購入する。
プレステやWii でのいわゆるダウンロード版に相当するものとして
モジュールを購入する。
Steam という本体を通して、ゲームソフトウェアを楽しむ仕組みだ。
Steam 本体は、インターネットショップとライセンス管理の仕組みを兼ねている。
各ゲームメーカーは、Steam によるライセンスチェックのおかげで、
不正なコピーを蔓延させることなくゲームをネットで販売してもらえるわけだ。

古くから、パソコン上でゲームを動かす、ということに、
ゲーマーたちは興味と手間暇を注いできた。
私もゲーマーのはしくれ、興味はあった。
しかし、PC のゲームには以下のような印象があった。
・高い=なぜかゲームソフトが割高な印象があった。
・高スペックPC が必要=素人の安物PC ではカクカクで動作しない印象があった。

これらの印象は、信長の野望であったり、ファイナルファンタジー11であったりにより、
私に植え付けられた印象だと思う。
すなわち、信長の野望は元々高価高額だ
(データ量が多いからだろうか? 光栄の社長夫人のインタビュー記事が面白かったがそれは別の話)
PC で稼働させるゲームは、ファミコンやプレステと異なり流通量が少ないので
高くなる傾向があったのはそもそもの事実である。

そして、高スペックPC。
ファミコンやプレステと異なり、金をかければ大容量のメモリやグラフィックカードを搭載できる、
カスタマイズ可能なPC という世界においては、
ファイナルファンタジーのような美麗な映像を処理させるために、
「金をかけたパーツ」を求められたのもまた事実であった。
当時、
プレステ2 なら2万円、プレステ3でも3万円というテレビゲーム本体の市場に対し、
Windows パソコンは低スペックでも15万円、さらに高価なパーツでプラス20万、
そういう金額が必要な世界であった。

これらの事情から、なかなか「PC でゲームする」という環境構築に
中途半端なゲーマーは手を出しづらかったのである。
(プレステでやればいいし)


今回、Steam に興味を持ったのはいくつかの事情があった。
Steam のセールは爆安で有名で、
80%オフ、90%オフ当たり前の世界である。
「高額なソフトウェア」というハードルが解消される。


それから、Steam には色々な規模のゲーム、
超大作から、個人作成の小規模なものまであり、
高スペックPC を望まれるものばかりでもない。
その一方で、昔のPC の事情に比べて、今のPC は高スペックである。
つまり、「昔の高スペックPC と同等処理レベル、メモリが、Windows10 の廉価PC」という事情。
私の、低スペックのノートPC でもゲームを稼働させることが期待できるわけである。


これら倦厭していた2つの事情が解消されており、
さらにそこに、「Steam がPS4 のコントローラを正式にサポートした」
という情報が私の背中を押した。


PC でゲームをする時、マシンスペックの他に、コントローラの問題が発生する。
マウス、キーボードという、PC に不可欠な入力デバイスでゲームすることも可能だが、
やはりゲームがやりやすいのは、ゲーム専用にデザインされたコントローラ、
Xbox のコントローラだったりプレステのコントローラなのである。

Xbox は開発元がMicrosoftWindows の親元であるわけだから、
PC ゲームとの親和性が高い。
長らく、Steam で使用できるコントローラといえば、Xbox のコントローラであった。
(あとは専用コントローラ)

以前PS3 のコントローラで試した時も、Steam で使用することができたのだが、
その時は有線であった。
すなわち、今の時代のワイヤレスコントローラー当たり前の時代に、有線。
まぁちょっと、イケてなかった。

それが、無線通信でPS4 のコントローラをサポートするとあって、興味が俄然わいた。
なので、Steam をインストールし、PS4 のコントローラを繋げて、
どこまでゲームができるか、試してみたくなったのである。

そこに、Steam 夏のセールの爆安プライスオフが重なり、
憧れだった「Portal」が、わずか198円(!?)
Portal」と続編「Portal 2」両方セットで298円(!!??)
生ビールより安い値段でプレミアムなゲームが手に入るので飛びついたのである。


■Steam 稼働環境の構築
私はこのへんは専門でなく、詳しく書くのも面倒なので別のブログに、設定方法等お渡しする。
http://indiegame-japan.com/2016/12/15/post-1809/

単純なものであった。
・Steam をPC にインストール
・PC のBluetooth にて、PS4 のコントローラとPC をペアリングさせる
・Steam のBig Picture モードにする
「あ、うごいた」
これだけで感動的なものであるが、さらに嬉しい誤算。
「あ! 振動にも対応している!」
PS4 コントローラがブルッと震えてくれたのは非常に嬉しかった。
振動機能のあると無しでは臨場感が変わる。

さらにさらに、ここまでは期待しておらず、むしろ余計にさえ感じているが、
モーションセンサーにも対応している。
すなわり、PS4 コントローラの傾き、左右に動かすことで視点移動させることさえ、
可能であったのだ。
(使いづらいから機能をオフにするのが、むしろ面倒くさかったりするのだが)

かくして、PC にて、Steam にて、
新たなコントローラを購入すること無く、
使い親しんだPS4 のコントローラでゲームができるようになったのであった。


■ついにPortal プレイ
憧れていたPortal を破格で手に入れ、PS4 のコントローラも使える…。
はやる気持ちを抑えて、Steam ストアにてPortal を購入(Paypal 決済)
起動させてみる。

私の低スペックノートPC でも、
Portal の3D FPS 視点は快適に動かすことができた。
ほんのわずかにラグが発生することもあるが、
ゲームプレイに一切問題なく、
主人公視点で謎に満ちた施設の中を探索し、
とびきりのアイデアが溢れる謎解きパズルを解いていった。

Portal は、実は、別のゲームのおまけとして制作、配布されたゲームである、
と後から知った。
(それが非常に評判が良く、単品売りされただけでなく、続編「2」が、
コンシュマー機でリリースされたのだ)。

それゆえに、実はわりと短い。
短いから、一気にクリアすることができた。
私のような飽きっぽい人間にはぴったりの長さであった。

ゲームとしては、主人公の視線で画面が構成される、FPS 視点である。
私はFPS があまり好きではないのだが、十分楽しむことができた。
FPS は「First Person Shooting」の略であるから、
CoD のような、戦争もの、銃で撃ちまくるゲーム性を想像しがちである。
そして、パズルゲームのような、じっくり謎を解いていくものとの親和性が
少なくとも私には疑問だったが、このゲームにおいて特に問題はなかった。
むしろ、ポータルをあけて移動するというSF な動きが、
迫力の一人称視点で感じられ、
アクションの難易度も相まって、緊張感と迫力と驚きを与えてくれる、「良い」FPS だった。

ゲームは、進めていくと手に入るポータルガンで、空間に穴を開けてワープし、
出口への鍵を開くアクションパズルゲームである。
ポータルガンは「入口、出口」があり、2個の穴を繋げることでワープが可能になる。
ドラえもんの通り抜けフープ…通り抜けフープだけど、出口も設置しなくてはイケナイタイプ。

出口の扉を開くにはいくつかのスイッチを作動させなくてはならず、
ワープを駆使してそれらのスイッチを作動させていく。
その手法が「わかった」時の気持ちよさは半端ない。
ワープは自分がするだけでなく、装置を作動させるエネルギーボールを導いたり、
スイッチにのせる「重し」を移動させたり、と様々。
時にはこちらを攻撃してくるミサイルやガトリングガンを、ワープホールで繋いで、
敵を同士討ちをさせたりする。

パズル的に部屋を進んでいく(今思うと、ながーいチュートリアルであった)。
するとやがて、大きく事態が別の方向へ動く。
このストーリー性が非常に楽しく、
第二部とも言うべき、舞台の裏側を探索していくと、やがて黒幕にたどり着き、
衝撃の事実を知ることになる。

黒幕との、非常にエキサイティングな対決を経てのエンディング…
そこで流れる音楽が何と言っても素晴らしかった。
ここまでクリアしてきた、あるキーワードがメタファーとして歌詞に組み込まれ、
なんというか、得も言われぬカタルシスを感じるのである。
謎がとけるとか、バックストーリーがわかる、とかではない、
再三示された単語が、その単語のままで意味も特に無いのだけれど、
思い出のクリアしてきた部屋の苦労とあいまって、「カタルシス」を感じるのである。

前半から後半に切り替わる前段階からほのめかされている、ちょっとした「ホラー」に感じる要素。
それが良い感じでストーリーの中に、曲の中に使われていて、
クリアした感動をじっくりと感じさせてくれるのであった。

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ゲーム自体は、ワープを駆使するパズルゲームでありながら、
アクション要素も少なくなく、
そういう意味では、激しい動き、素早く正確なショット、というアクションゲームを苦手とする人は、
少し苦労する場面もあるかもしれない。
それであっても、繰り返し試していればクリアできるくらいの難易度で、
閃きで出口を開く楽しさが、アクションへのモチベーションとなることだろう。
唯一ラスボス戦が苦労するが、
この苦労も解き方がわかれば、あとは丁寧な操作をするだけであって、
ラスボス戦で難しいのは、むしろアクションではなく、
「黒幕の会話をちゃんと聞きたい」けど忙しく戦わなくてはいけない、
というジレンマの方であろう。

ラスボスのセリフを聞き、意味を理解しながら何度かゲームオーバーになったあと、
ついに最後の一撃を溶鉱炉へ沈めたとき(失礼、ネタバレだ)、
大いなる安堵の気持ちとともに、先に書いた曲が流れ、
気持ちよくゲームを終えることになるのである。
まったく…おまけとして制作、配布されたとは思えない、素晴らしい完成度だ!!

続編の方は単品製品として発売されたので、
おそらく倍以上のボリュームとなるだろう。
倍以上の…謎解きが待っていると思うと、
今からワクワクが止まらない、
そんな素晴らしいゲーム体験であった。

おすすめです(Steam とともに)