消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

Push Talk は第三世代のキラーサービス足りえるか②

アメリカでは一年以上前から導入され、既にユーザ1000万人強というPush-To-Talk 方式通信。
遅れること一年、日本の第三世代携帯の様々なサービスの中でも、鳴り物入りで登場なのが
NTT DoCoMo「Push Talk」、後続のAU 「Hallo Messenger」
このサービスについて考察する。

Push Talkの場合、Eメールの非同期性は失われ、リアルタイム性がまるで「売り」かのように言われる。
リアルタイムである理由はひとつ、パケットが重いからだ。
文字データは一文字1~2バイトと、非常に小さなデータである。
DoCoMoの場合は携帯メールは1000文字の制限があるようだが、全角文字1000でも2000バイト、
わずか2Kバイトのデータということになる。

Eメールを受信しない、あるいは受信できなかった場合、未送信のデータはサーバに蓄えられ
一定時間ごとに再送リトライされることになる。
「データはサーバに蓄積される」
膨大な量のメールが毎日サーバ上で送信リトライされていることと思われる。

音声データが大量リトライされたらどうなるか。
「こんにちわ(文字)」と「こんにちわ(音声)」のデータの大きさの差は2倍3倍のレベルではない。
パソコンで「録音」をやったことのある人ならわかるだろうが、非圧縮の音声データは簡単にM「メガ」の領域である。
メガというのは1024×1024バイト。Eメールとのデータ量の差は歴然。

このデータがサーバ上に蓄積され
尚且つ再送のリトライがされることとなったら・・・

ちょっと普通じゃないサーバ負荷が想定される。
そのための「リアルタイム性」であり、トランシーバ形式なのである。
音声データの巨大さを考えると、「1発言5秒」あたりが限界なのだろう。
どのようなエンコーディングがなされるのか知らないが、録音・圧縮・送信・再生という処理を考えると
リアルタイムさを追求するのは並々ならぬ処理速度だ。

そしてこれで本当に利便性を追求するなら、例えば電波の届かない人がグループにいた場合には
その人用に音声メッセージを保存しておいて再送するべきである。

AUは「チャット」と打ち出すことにより、過去の発言を「ログ化」することが可能であろう。
(実際の動作で過去ログが残るかどうかは未調査)
音声のみのやりとりには最初から限界が見えているのだ。

このPush Talk には確かに利便性がある。
「今駅ついた」といった、簡単なメッセージを待ち合わせの友人らにさっさと伝えることがまず一つ。
メール起動、アドレス選択、文字入力。
ほんのわずかな差であっても、なれればPush Talkの方が利用されるようになるだろう。

もう一つ。
現在の無線通信、いわゆるトランシーバに取って代わる可能性である。
現在の無線通信は音声を電波に変換して、電波を送信・受信・再生というフローで構成されている。
この通信の弱点は傍受のされやすさと、導入コスト、機器の値段がどうしてもかかってしまう点だ。
携帯電話がトランシーバのかわりになるとすれば、導入コストは一気にさがり
パケットによる暗号化通信なので(無線よりは)傍受されにくい。
混線も軽減されることは間違いない。

無線通信に取って代わるための要素は1にも10にも、コストである。
2秒1円。タクシーや警察のように24時間体制で音声が飛び交っている業界にとって、
この消費コストは天文学的コストである。
無線機も電波を飛ばすために電力を必要とするが、Push Talkランニングコストの比ではないだろう。


先ほどの参照URLにあげた、キーマンズネットの締めにこんな言葉が添えられている。
この記事は2005/4/6 の記事だ。
国内でもあと1年前後で携帯電話の通信キャリアによるPoCサービスが始まると見られているが、携帯電話の通話方法としてPoCがメジャーな地位を確立していくのか、それとも亜流としてニッチな存在に終わるのか、今後の通信キャリアの取組みにぜひ注目したい。
AUDoCoMoという二大巨頭通信キャリアの取り組みは、
実際には「サービス期間、20秒1円、それ以後2秒1円」という答えだ。
本来なら、パケット通信なのでパケット定額内に収めるべきではないか、と感じる。
通信キャリアはサービス提供量として、月々300円程度の定額を課す事で満足するべきだったのではないか、と思う。