消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

「ウルトラヘヴン」小池 桂一

手塚治虫賞を最年少で受賞した小池 桂一の漫画。
多くの薬物の合法使用が認められた近未来で、
それでも刺激を求め違法薬物に手を染め続ける
デカダンな青年「カブ」を中心に
ドラッグ体験と脳内世界をヴィジュアライズに描く超力作。

宣伝文句は「ペーパードラッグ」
そのものずばりの、緻密で迫力ある絵が幻覚体験を
嵐のように体験させてくれる。

ドラッグ経験者の話では、LSD のりの幻覚体験を
見事なまでに描写しているとのこと。絵でトリップ
できることうけあいだ。(もちろん私には何のことやら
わからない)


この作品、惜しむらくは、相当練られたプロットが
あると思われるのだけれども、その序章程度で止まって
いる点。
現在二巻のみ出版されているのだけれども、一巻発売後、
二巻が世に出るまで実に三年の月日を要したとか。

この出版ペースに対して、物語の進捗は非常に遅い。
絵のひとつひとつが体感的なので読んでる分には
冗長さを感じないが、これから始まるであろう壮大な
ストーリーとこの発刊ペースをつなぎあわせると
目がくらむ。
まだ教団にも行ってないのに……。


ドラッグとサイバーパンク、という単語が良く似合うので
その代表作である「アキラ」に少しテイストが似ている気が
する。ただこちらはドラッグにかなり特化している。
ドラッグヴィジュアルに特化している。

この世界が裏返るような感覚はぜひ体験して欲しい。
名作である。