消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

恐怖!アクティブダイエット①

それまで、ダイエットとは過剰な肉体酷使とギリギリの精神的マゾヒズムによってのみ
成立する一種身体虐待行為とされてきていた。
しかしアクエリアスが新たに提案・開発した桃源郷の甘露とも言うべきアクティブ・ダイエットは
「努力」「忍耐」「勝利」
の少年ジャンプ的方程式をダイエット業界から取り去ったのである。

↓詳しくはこちら。
http://www.cocacola.co.jp/aquarius/aad/

「動けばやせる」
こんな魅惑的な扇動の言葉にのせられて
早い段階から私はこの飲料水――いや、この謳い文句が事実なら「飲料」のカテゴリには収まるまい、
「聖水」と呼ぶべきであろう。
近所の西友西友メイク・ユー http://www.seiyu.co.jp/ )が大々的に売り出したことをきっかけに
毎昼食に拝飲(拝んで飲む、意。造語)することとする。

以下、ある男と脂肪とカロリーの、脂ぎった真昼の抗争記録である。

第一日目:
半信半疑で飲み下す。
しかしこういうものは基本、信仰心だ。
神様だって疑ってかかるやつにわざわざ奇跡を起こしたりする気はないだろう。
神仏天命に願をかけてありがたく頂戴する。

第二日目:
あっさりとして後味の残らない甘さが意外な美味であることに気がつく。
一歩進むたびに自分がスタイリッシュ・スマート・ハンサムボーイへの階段を上っていることに
異様な興奮を覚え
歩いてる間中にやにやする。

第三日目:
わき腹をつまんでも成果なし。
そろそろクレーム対象かな?と努力もせずに上を憎む典型的サラリーマン根性をだす。

第四日目:
あまりにもすがすがしい目覚めのために思わず世界の幸せを祈る。
時計を見ると起床時間のはるか先をゆく天文学的数字
思わずタイムスリップしたのかと勘違いする。
遅刻の言い訳は「時間軸のずれに飲み込まれた」

第五日目:
再びこれでもかという目覚めのよさに、すべての野鳥におはようといいたくなる。
時計をみると昨日以上の仰天の数字に言葉を失う。
昨夜は各目覚まし時計の起動テストを済ませて寝たのに、どういうことだろう?
体の具合でも悪いのじゃないかと心配になるが
ひどく睡眠が足りてるために元気すぎるほど元気。
一人トライアスロンにでもチャレンジできそうなほど体調はいいが
そんなさわやかな笑顔は上司に通用するはずもなくこっぴどくしかられる。

第六日目:
まさかの三日連続にさすがに青ざめる。
六星占星術やタロットを駆使して原因を探るも愚者がヘビ使い座の位置にでてより蒼くなるばかり。

カトウ邸の目覚ましは「携帯」「テレビ」「オーディオ」の三段構えであり、
中でも大音量で映像もぎらぎらと飛び交うテレビの効果は甚大で、
これまで二度寝することはあっても「まったく前後不覚に眠りこける」ということはなかった。
一種の仮死状態になってるのかとさえ疑うほど。
以前から三時間程度の睡眠は不足がちだとは思っていたが
この日は寝坊三日目、
もう寝る子が育つなら、三メートルは超えてるであろう眠りっぷりである。

ストレス、食事、タバコ、女、ミケ(猫)
あらゆる原因へと思いを馳せるも、
びっくりするくらい平凡な毎日にかえってへこんでしまうのみの悲しい結果。
一体全体何が・・・

そして僕はいつしか、巨大な運命の渦に巻き込まれて行くことになったのだった。
この星の運命を背負って・・・
(続く)