消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

クレイマー・クレイマー(米映画)

映画「クレイマー・クレイマー」を見た。
もちろん粘土人形クレイアニメ
「クレイマン・クレイマン」と間違えたのである。
そういえば同じ間違いを昔もしたのを思い出した。

ただ、前回間違えた時は視聴しなかったので
今回は視聴することにした。
いつ泥人形「クレイマン」が少年と話し出すのか楽しみにしながら。

内容は、「クレイマー家の非常に個人的な愛憎劇」
主人公であり夫のクレイマーは、仕事絶好調の仕事人間。
若くして出世街道をひた走り、家庭を顧みない典型的な
ワーカホリック

妻クレイマーはその家庭に絶望し、息子クレイマー(5)と夫クレイマーを捨てて
ある日飛び出ていく。
夫クレイマーには何が問題だったのかさっぱりわからない。
一人息子と甲斐甲斐しい妻、稼ぎがよく出世する夫。
理想的な家庭だと考えていた。


「あなたの理想の型にはめられて、息も出来なかった」
「妻であり母であり娘であることを望んだ。『私』ではなく」
出て行った妻の言によると、夫のワンマン運営家庭に問題があったようだ。


妻クレイマーの気持ちも全くわからないまま、
残された息子クレイマーの面倒を見る決心をする夫クレイマー。
しかし子育てと仕事の両立は非常に難しく生活は破綻していく。

息子クレイマーはママがいないと泣き
夫クレイマーは息子の送り迎えで仕事が滞る毎日。



しかし、徐々にではあるけれども
そんな破滅的な生活に慣れてきて、
夫クレイマーと息子クレイマーの歯車が重なりだす。
親子の愛情に夫クレイマーは充実感を感じ出す。


はいそこで妻クレイマー、帰ってきた、どーん!
「息子をよこせ」と来たどーん。
もちろん夫はいらない、どーん。


ここから先はネタバレになりますが……


よいですか? ネタバレしても?



妻の造反と、すべてを失う夫。
これがこの映画のすべて。
女って……家庭って……と、妻や子を持つ男にとっては
恐怖映画にしか見えない。
わが身にこんなことが起こったら、と思うと
上映中ずっと背筋が冷たかった。


女性的な視点で見ればまた違った映画になったと思うし
きっとラストシーンの解釈、ラストシーン以後の「その後」も
変わることだろう。
でも現実はひとつ。これは観点で変わるものじゃない。

男は、すべてを、失った。


辛いなー。辛いよ、夫クレイマー。


さて、この映画を見ていてすごく感じるのは
なんて個人的な映画なのだろう、と。
クレイマー家の内幕を、目を背けたくなるほどに見せられる。

考えてみたらハリウッド映画ってひどく極端だ。
地球を救う超大作アクションか
腰が砕けそうなほど甘いラブストーリーか
どこまでいっても個人的な告白にすぎない映画、か。


これらのどれが「良い」のか一概には言えないし
個人的な告白でもまぁ構わないと思うけれど、
今回の「クレイマー・クレイマー」が人に勧められる映画かと言うと……


妻帯者、子持ちは見てもいいかもしれない。
女の気持ちとか家庭というものの難しさを感じるとか
モデルケースとして勉強・反省するのではなく


単なる「恐怖映画」としてならお勧めできる。