消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

ゲーム開発会社の悩みを分析

ITmedia に、ゲーム開発会社マーベラスエンターティメントの幹部の
「心の叫び」が掲載された。

これまでに発売したWiiソフトとして「NO MORE HEROES」「牧場物語 わくわくアニマルマーチ」「朧村正(おぼろむらまさ)」などを挙げ、「どのソフトもギリギリの時間と予算の中で、制作者・開発者ともに精魂込めて作り上げ、胸を張って世に送り出したタイトルたちで、実際にどれもすばらしい評価をいただいた」という。

 だが売り上げは評価に比例していないようで、「本当に不思議。全部のタイトルが同じような出荷本数です。しかもそんなに高くない」という。「もう本当に涙目。泣きそうです。夢にも出てきます」と嘆きつつ、「いろんな意味でまだ力が足りないのでしょう」と自省する。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/17/news025.html



読んでみて、ふうんやっぱりそうなのか、と納得してしまう。
これには様々な要因があるだろうが、列挙すれば当然と言う気がする。
「売り上げが上がらない」という結果を導き出す原因が山積しているのだ。


「いいもの作れば必ず売れる!」
開発側はとかくそう信じて製作に熱中するが
残念ながら、努力が必ず報われるのが「世界」ではないのだ。
現実は「勝者が勝つ」という、一見パラドクス的な理論がまかり通る世界なのだ。

だから「夢は必ず叶う」とか「努力は身になる」って教育は
現実に即してない理想論。
親とか先生はこの辺見直してもいいくらいだろう。


自分も、いいものを作れば必ず売れる、と信じた時期があった。
しかし圧倒的な支持を得ながら「ツバメ」が表に出なかった原因はなんであろう。
いや、それはもうよそう、過ぎたことだ。


さて考察。

・違法コピー市場
・ゲームの内容の巨大化
・中古販売
・ハードの非独占
ダウンロード販売に見られる「過去作」
・広告(購買者の購買要員分析)


違法コピー市場はしかし、
今回の件で騒ぐほどのものではない、と私は思ってる。
実際のデータを知らないからもしかしたら相当な打撃なのかもしれないけれど
根拠はある。
ニンテンドウWii の旧作のDL 販売が好調な点だ。

大きな声じゃいえないが、ファミコン時代のソフトなんて
ネットでちょっと探せば簡単に手に入れられる。
しかしそれでも500円というお金を払って
Wiiファミコンソフトをダウンロード購入する人が大多数いる現状から

実は健全な消費者は多い、と想像できるのだ。


それよりも根源的な問題はこれじゃないか、と思っているのが
「ゲーム内容の巨大化」だと私は思っている。


1~2ヶ月数個の大作ゲームが世に発表される。
先月買ったゲーム、もうクリアしただろうか?
してるわけがない。
「ゲームは一日一時間」論理から考えれば、
プレイ時間100時間を謳う大作RPG たちは、購入後100日、
3ヶ月強プレイしなくてはクリアできないものなのだ。


お母さんは言う。
「それをクリアしたら新しいゲームね」
子供は必死でエンディングを目指す。
だるいイベントを乗り越え、見飽きた魔法を何度も飛ばし。

あるいはアクションゲームの場合、テクニックを駆使すれば
1ヶ月でクリアできるかもしれない。
けれども昨今のゲームはやりこみ要素が抱負で
しかもなぜか本編より面白いミニゲームがたっぷり入っていたりする。

3ヶ月。
3ヶ月たっぷり一本のゲームで遊んで
「さてそろそろ新しいゲームを……」と見回したとき、
「あれ? 欲しかったあのゲーム、もう中古で出てるじゃん」
「ふーん、結構安くなってるな」

こうして小売ではなく中古が売れてしまう。
そもそも、ゲームが巨大化、ミニゲームの充実で
ゲームのローテーションが悪くなっているのです。
ゲームの中古販売は当時の訴訟時ではなく
今まさにゲーム開発会社を直撃してるんじゃないだろうか。



それから、ダウンロード販売による、過去作の配布がある。
500円程度の金額で、懐かしくて夢中になった古き良きゲームが手に入る。
楽しいものが(楽しいと分かっているものが)安く手に入る状況で
未知数な大作ゲームに大金を払うユーザがいるだろうか?

自分の友達の家のWii は、現在スーパーマリオ専用機となっているそうである。
もちろん、最新作Galaxy などではなく、
初代スーパーマリオ、である。


ユーザが新しい刺激を求めなくなってしまった現在、
新作ゲームのハードルはもう尋常じゃないものになっている。


「いいもの作ったから売れるはず」ではない、
「売る」というところに注力した戦略的開発が必要になってくるだろう。


書籍の世界では、購買は
「衝動的購入」と「目的買い」があるそうだ。
目的買いはさらに「著者買い」「テーマ買い」に分類されると言う。

書籍の世界のマーケティングがゲームに適用されるのかはわからないけれど
参考になる一例だと思う。