消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

僕とネコと離婚物語~ 100 %勝利へ~その12

番外編「プロジェクトマネジメント◆


私は、今回相当うまく離婚と探偵をこなしたと自負しているのだけれども
私自身の消耗が激しかったのと、
なんといっても調査時の追加料金が痛かった。
そして今思い返してみると多分に偶然に左右されており、
運が良かったと言わざる得ない箇所がある。

一歩間違えれば大失敗の可能性の、すれすれの処にいた。
思い返すとそういう瞬間瞬間に気付かされて、けっこう背筋が凍る。


それから、もう皆さんお忘れかも知れないけれども
このプロジェクトの「勝利条件」を
私は当初「みんな笑顔」と書いて濁していました。
私は笑顔になれているでしょうか? 他のステークホルダーは?

それはもう少ししたら書く事になりますが、
実はこの、肝心要の
(探偵プロジェクトだけでなく、本来の離婚全体の)
「プロジェクトの目的」も、
この後、変更されることとなるのです(プロジェクトスコープの変更)。
まぁそれは後ほど……。


さてさて。
プロジェクトの成否の判定は「QCD の達成」です。
Q:クォリティ。品質。プロジェクトは要望された品質における成果を出さなくてはならない。
C:コスト。費用。プロジェクトは利益を守る範囲内の費用で収めなくてはならない。
D:デリバリー。納期。プロジェクトは約束された期日までに完遂しなくてはならない。

このうちの一つでも満たせなかった場合そのプロジェクトは「失敗」と言えます。
カトウはQCD を守れたのでしょうか。


クォリティは、目的を達成できたか、で判断すべきです。
これについてはもうしばらくこの連載を書いていく中で明らかになってきますが
先に書いちゃうと「失敗」しました。
私は、当初私が求めた成果を得ることができませんでした。
詳しく書くと面白みが減るんでここまで。


コストの方はどうでしょう。
探偵の章で予定コストをオーバーしました。
しなくていい追加料金を、策に溺れて出してしまいました。
ここについてもう少し詳しく書きたいと思いますが、

その前にデリバリーはどうでしょう。
これは……今更こんなこといっちゃなんですけど、よくわかりません。
ただ離婚活動三ヶ月、と言われる世間の例の中で、
まぁダラダラと長くすることなく終われたかな、と評価しています。
正直離婚はしんどい。離婚の準備や調査や手続きをしている期間は死にそうにしんどかったので
死なずに済んだ、
精神病にならずに済んだ、
会社の仕事へ影響「し過ぎずに」済んだ、
という三点から、納期のみは達成できたと評価しましょう。


さて。今番外編を書いているのは、実はコストのオーバーについて
反省と「何かしらいいこと」が言える気がしているからです。

コストが余分にかかってしまったのは一重に、私のでしゃばりが原因でした。
探偵には余計なことはせず任せるように、と言われていたのに、
私は様々な工作を画策し、誘導し、危険を犯してメールを盗み見たりしていました。
うまく行くように行くようにと手を変え品を変え作戦を練っては、
これじゃダメだと一人焦燥感にかられていました。


一人、というのはなんと不健康で効率の悪いチームでしょう。
相談する相手もなく、決定する判断力もなく、
ただベランダで吸うタバコばかりが増えていきました。
「これで完璧のはずだ」
と何度も思いました。
「……でも勝ったと思った瞬間に負けているんだ」
そしてまた作戦を変えるのでした。


プロジェクトなのに一人?
それは矛盾していました。
実際に調査に向かっているのは探偵会社の人たちであり
Google の向こう側にはたくさんの人々の知識がいたのです。

私のミス。
それはプロジェクトメンバーを頼らずに一人で完遂しようとしたことでした。
役割を定めずすべてを自分が負って自分のコントロールで達成しようとしました。
そうしなければ不安で潰れてしまいそうだったからです。


結果論とも言えますが、余計なことをせずに探偵に任せておけば
あるいは追加料金などという余計な出費にはならなかったかもしれません。
もっと言うと、今回たまたまうまくいっただけの奇跡に頼る必要もなかったかもしれません。
探偵には探偵の領分がある、PJメンバーのそれぞれに領分と役割があるように。
そこに対して「越権行為で」手出しした私は、プロジェクトを危機的状況に陥れた
張本人であったのだ、と今振り返ると思います。


見守る勇気。
任せる度胸。
これがプロジェクトをリーディングするための重要な役割分担だったのだと思います。

現実社会のPL としてはムチャぶり任せっぱなしで有名な私が
ここぞというところで見せた心の弱さ。
それが今回の反省点であり学んだ点でもありました。


いや、実地に勝る勉強はないですね。
危なかったけど。


さて、無駄話はこれぐらいにしておきます。
ここまでで、私が伝えるべきテクニックというか
あれは良かった、これは間違いだった、のプロジェクト評価票です。


此処から先は、答えのない現実があるだけです。
それは滑稽でどこか嘘臭くて
とてもとても個人的な物語なのです。

私が探偵資料を手に入れて何をしたか、
そして何を手に入れて何を失ったのか、話しましょう。

(つづく)