消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

潔癖、という病気

ある種の性格、性向というものは
度を越すと病気と判断されるものがある。
例えばネガティブ思考なんかは被害妄想に発展しやすいし
いい加減、ズボラも、家がゴミ屋敷になったら
統合失調症とかそういう系統に分類されるだろう。

潔癖、は強迫観念に分類される。
深層心理に、あるいは精神疾患で、
綺麗、と言うことに病的に囚われるわけだが、
この「綺麗」の判断基準は、往々にして理にかなっていない。

例えば私が先日見たスレでは
こんな事を書いている人がいた。

「店か親が作ったもの以外、汚くて食べる気がしない」
これは強迫観念の典型である。
なぜ、店にて調理されるものが「綺麗」と盲目的に判断されるのだろう。

飲食店は衛生法に従い確かに食中毒などを防ぐ基準、
ルールや清掃をしているが、
逆に食中毒などの問題がでない限り、
それ以上の衛生作業は行わない。
また、多くの客が訪れる開かれた場である。
どんな細菌、衛生状態の人が来店するかわからない。

親、に関してはどうか。
親、という発言が出る時点で親に依存した学生か、
親離れ出来ない情けない大人であろうが
親にはどのような衛生観念があるだろうか。
そしてそれは正しい知識、行動だろうか。
息子娘たちが判別できるほど「綺麗」な状態なのだろうか。

「そういう問題じゃない。
気分、イメージの問題だ。
他人が触ったものなんて食べられない」

その通り。
これは、多分に精神的な捉え方の問題なのである。
実際の綺麗汚い、
細菌の多い少ないではないのである。

だからある人は「彼女の手作り弁当を口にするなどあり得ない」として
ゴミ箱に捨てるのであるし
友人宅に泊まったり、
友人のとの弁当オカズ交換では、
友人の親という他人が作った、手を触れたものに対し
嫌悪を示すことになるのである。

大概の人がそれらを非常識、神経質、理にかなっていない、
と考えるだろう。
だがこれらは理屈でも常識でもなく、イメージの問題なのだから
別の側面で語られるべきことなのである。

そもそも、常識とはなんであろう。
理、はわかる。
数学や化学や物理により証明された事象、変化のことである。
常識とは?
自分の親が作るものは口に出来て
他人の親のそれは口に出来ないという行為の
「非常識さ」とは何か。

ひとつには、理屈に裏打ちされた論理的思考と言える。
数学化学物理ではこうなっている、だからこうしていい、
と言う、理にかなった行動は一般的に認められるものだ。

しかし世間には往々にして理にかなわない行動も
常識としてまかり通ることがある。

常識とは、文化的しゃかいてき側面を持つマジョリティ、
多数の論理である。
理屈では綺麗な食べ物も
大多数が否と言えばそれは口に出来ない不浄のもの。
日本で虫料理なんて食べられないし、
かつて欧米においては、生魚である刺身を食べるなど
野蛮で狂気の沙汰とされていた。


結局これは、理屈とか常識とかではなく
イメージの問題であり
精神性だって
常識や文化や社会や通念を背景に
定められる一面もあるのだ。
我々の常識が世界の非常識だったら、どうか。
生魚を食べる人間を狂人と見なした時代、
文化が確かにあったのだ。


と、潔癖症を擁護する方向に持って行きつつ
しかし潔癖が強迫観念を伴う時には、
それは精神病である。
精神病とは何か。
それは論理や行動では変えることのできない、
人間本性の内奥的疾患である。
どんな場合であれ風邪が正常な状態ではないように
精神病もまた正常ではない。
無理矢理でも我慢して、友人宅の食事を食べられたら
それは綺麗好き、でまだ済むかもしれないが
口にいれたものの吐き出してしまう場合、
それは疾患と判断されるだろう。
自分の意思に反して吐き出してしまう場合、である。

そして、
その精神疾患、強迫観念がない限りは、
食べないのはわがまま、である。
人間は社会的な生き物であり、
社会では我慢しなくてはいけない事が多いのだ。
どんなに腹が立っても人は殺してはいけないし、
恋人の手作り弁当はゴミ箱に捨ててはいけないのだ。

社会は、常識を守ろうとする人々の意識で成り立っている。
誰かの自由意志や法的束縛で保たれているのではない。
社会的一員として、
下記のスレ主は彼女の弁当を食べてやるか、
せめて事前に食べたくない旨を伝えるような
社会性を身につけて欲しい。
勝手に作って持ってきた時も、
受け取らずに説明すればいいのだ。
事に正面から向き合う事を避け、
裏で隠れて処理しようとした、
その社会性の無さを恋人の友人に批判されているのだと
気がついてもらいたい。

そして
除菌や洗浄と過度な潔癖を推し進めるこの国の
くだらないプロパガンダ
コマーシャリズムに乗りすぎないよう、
自らの意識を律する事のできる大人になってもらいたい。

擁護してる奴ら全員、な。
http://majikichi.com/lite/archives/6585051.html