消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

匿名性の中で自我を抑制できない人間性の小ささ

インターネットによって生まれた大規模な匿名性の発露の中で
如何に我々人類が(見える範囲で言うならば、日本人が)、
上っ面だけの文化人を刷り込まれてきたのかがわかる。
教育が作り上げたのは「メッキ人間」ともいうべき、
表面的な統一感と民度だったのだ。

だけど、それでいいと思う。
それが教育の限界であると思う。
もうひとつ、教育なり日本文化に期待するとするなら、
その「メッキ」を如何なる場面でも剥がさないことを、
性根に徹底して叩き込んで欲しかったところである。


メッキに抑圧され、
いい子ちゃん、日本人らしさという民度に抑圧された我が国民は
もともとの排他性、隠匿性を根っこに隠しつつ、
世界的には、勤勉で真面目で組織的な国民として見られるような
「良い人」に徹することができた。
というか、強いられた。

それを抑圧ととらえた人間たちが、
現代社会において2ちゃんねる、ブログ、コメント、ツイッター
LINE といった匿名性の世界の中でタガをはずし、
メッキの内側のドロドロして根暗で攻撃的な人間性を発散させているのである。

「王様の耳はロバの耳」ではないけれども、
人間はもともと「隠匿」と「発散」の両方のバランスを保とうとする。
両方無くて、あけっぴろげなゼロ、という、
期待すべき松岡修造的な人間は通常はいない。ほとんどいない。全くいない。
大抵は裏と表があり、誰かしらに隠している要素があるものである。

それは良い。それが普通。
それを持った上で、日本の教育を経て「メッキ人間」になれていることは、
日本国の成果であるし、
期待されることである(画一的に優秀かつ表向き誠実に付き合える人々にあふれること)

そして、問題は「裏」というか、
抑圧されている本来のリビドー側の発露、発散である。


むかーしむかし、各時代の日本では、
それこそ、裏の陰惨な世界がたくさんあった。
江戸時代や室町時代にもきっと色々あったのだろうけど
明治期以降なんかでも色々あったじゃないですか。
陰口だったりお忍びだったり夜這いだったり座敷牢だったり。
えーと、「秘密と発露」のことです。
隠していたこと、と、隠していたことを「ロバの耳」的に発散させる行為。

その発散、「大声で秘密を暴露できるツボ」が、
想定をはるかに上回るインターネットとなって
罵詈雑言が叩き込まれるようになった。
2ちゃんねるが「ツボ」と呼ばれていて、トップページがツボだったのも
おそらくこの要素が表現されているのだろう。

愚かしいのは、ツボがあるにもかかわらず、
匿名性が失われる要素を持ったまま暴言をはく「うかつな奴」がいることだが、
それはまぁ、マヌケなだけなので放っておこう。
ただ、人間性にこういう隠匿と放言という特性がある一方で、
インターネットリテラシーは、それなりに教育勉強を経なければ体得できない。
メッキがはりきれておらず「メッキ人間」が構成しきれていない状態で
インターネットなんてものを与えられて「秘密で言いたい放題できる」なんて状況を与えられれば
それはうかつになるものなのだろう。それは理解できる。

だからどちらかというと陰惨で辛辣で目を覆いたくなる「王様の耳はロバの耳」は
子どもたちの間で起きている。どちらかというと、ってレベルだが。
LINE いじめ。ツイッターで暴言。ブログやプロフでの発露。
まだ「いい子ちゃん(メッキ人間)」になる前の不安定な状態であるから、
この時期は本当に大変だと思う。
大変な状態の時に、インターネットなどという巨大な爆発物に触れさせてしまっては、
それは当然、人間性形成に大きな負の影響をあたえることは、想像に難くない。


だからといって今更人類をインターネットから切り離すことはできないだろう。
インターネットを免許制にしてはどうか、と思うけど、
規制は新たな抜け道を作るだけでである。
この時代の事象に迎合した教育なり子育て理論が必要になるのだろう。


子育てには大きな課題を残すインターネットだが、
成熟した大人たちが、メッキ人間としての自覚を「持って」
ネット上で発散、発露させている姿をみると、さすがにがっかりする。
彼らはメッキ人間、日本人的いい子ちゃん教育をちゃんと体得しているから、
日常生活、仕事の中ではそれを見せない。
しかしその一方で、インターネットの匿名性の中で自分をさらけ出したりするのだ。
普段たまった鬱憤や闇を吐き出し、他人を攻撃することで爪を研ぎ、心の平安を取り戻そうと、
隠匿と発露のバランスをとろうと必死になるのだ。


その姿は醜いが、人間特性上已む得ないものなのだろう。
人間だって所詮は畜生だから、モラルや常識や教育は後付のメッキである。
内側には爆発しそうな液体ニトログリセリンが渦巻いている。

ただ・・・せっかく「メッキ」されたのだから、
その発露は、とにかく見えないように頑張れよ、と。
なんとか秘密にして発散しろよ、と思うのである。
言い方を変えると、「秘密に出来る範囲に押さえとけよ」ということである。
家の引き出しに鍵をかけてしまっておけるような日記帳にとどめておけよ、と。
いい大人なんだから。

人間は露悪趣味があったりするので、
顕示欲とか承認欲求があったりするので、
不平不満を「誰かに認めてもらいたい、知ってもらいたい」と欲求するものだし、
ツイッター裏アカウントや秘密ブログで、
秘密のくせに世の中に見える形で発露したいものなのだろう。
もっと物理的な欲求になっちゃうと、
学校の校長を努めていながらフィリピンで少女買春なんか派手にやらかしちゃったり
警察官のくせに電車で痴漢行為盗撮行為に勤しんだりするのである。
そりゃ見つかるよ、捕まるよ、とこっちからしたら思うのだけれど、
本人たちはリビドーを止められなかったのだろう。

メッキ人間として自己形成していく過程の中で、
どこかで、
「賢く」発散できる方法を見つけ出したほうがいいですよね。

いじめや痴漢のような発露は、実に下手くそな発散方法なのです。
それから、インターネット暴言は、それは匿名性を完全に確保しているなら「賢い」かもだけど
人間としては小さい、発露の表れなのです。
本当に賢いなら、それは誰にも見られないよう日記帳レベルに収めておけばいいのにねぇ。


私?
私のこのブログは、それこそ矮小な私という人間の、
おろかしくも醜い承認欲求の現れ、なのです。
そのぐらいは自覚しておかなきゃ、哀れですよね・・・
(↑これも「わかっててやってるんですよ」という自分を承認してほしい欲求)