消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

宝物。

宝物は、いつも引き出しにしまいこんでいた。

宝物を見つけると、大切な引き出しの鍵をあけて

奥に奥につめこんだ。

宝物がどんどん増えていくと

引き出しをあけて数を数えたり

引き出しをガムテープでべたべたにしたり

袋に入れて抱えて眠ったり

心配がどんどんふくらんで

心配でいっぱいになって

ついには引き出しの前から動けなくなってしまっていた。


僕は宝物を捨ててしまった。

僕は三日間泣いたけれど

次の三日間は悲しそうな顔をしていたけれど

その次の三日間は、また元気に外で遊んでいた。


僕は宝物を捨ててしまった。

僕の引き出しにはひっかき傷のように

宝物が「もうない」が、残っている。