消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

「天元突破グレンラガン(第二部~第四部)」GAINAX

全27話。DVD で9巻。長い戦いが終わった。
長かった。

エヴァンゲリオン」で有名なGAINAX の熱血ロボットアニメである。
2007年放送。

面白さ、人に薦められるか、では否。
しかしもう一回見てもいいような、そういう不思議な魅力はある。

かなり不思議なアニメだった。3~4話にひとつ、
「あ、面白くなってきたなこりゃ」
と思うと、次の回であれれ? と転落してしまう。
その繰り返し。
正比例的に面白さが向上する(普通の連載はそうなる)のではなく
まるで人体の脈拍のように面白さが波打っている。

あるいはこのアニメの主要モチーフであるドリルに例えてもいいかもしれない。
くるくる回って面白さに近づいたり遠ざかったり。
面白い回は相当に面白いので、その期待でモチベーションは維持できた。



内容解説。
このアニメは全部で四部構成、明確に四部に分かれている。
部が変わるごとに主人公の服装が変わったりタイトルのフォントが変わったり
するのではっきりしている。


第一部は、以前詳しく書いたけれどもやはり導入部。
世界観やキャラ設定、目的が描かれる。
目的は、ガンメンと呼ばれる顔に手足がはえたようなロボットを操り
人間と敵対している「獣人」と戦う事。

主人公・シモンの兄貴分・カミナが大活躍し、仲間が増えていく。
そして大波乱が起こったところで、第一部終了。


第二部では「ニア」という天然系ヒロインが新たに登場する。
敵である大ボスの娘であることが判明するのだけれど
主人公らに共感し行動をともにしていく。
彼女が後々重要な役回りとなっていく。

あと、多分このアニメの「萌え」部分という重要なパートも担っている。

第二部は敵である獣人のボス「螺旋王」を倒して終わる。
とにかく巨大な敵で、戦いがどんどんヒートアップしていく。
この辺で、このアニメが目指しているのがドラゴンボールに代表されるような
「強さのインフレ」であることがわかってくる。
強さはイコールでかさ、という単純構造をもってるのでどんどん敵も味方もでかくなっていく。
そのでかさが迫力があり痛快で問答無用の面白さになっている、んだとおもう。


第三部はいっきに時間が進み七年後の世界が描かれる。
仲間たちは成長し雰囲気も変わったり事情も変わったり。
ここまで第一部、第二部で見てきた物語がものすごく長い伏線であったことがわかる。
第一部、第二部の物語が非常に生きていて、
展開が急に深くなり面白みが増す。ただ怒鳴りたてていた第一部、第二部とは明らかに違う。

そして主人公たちは世界の謎に急速に迫っていく。
それは地球を救う戦いとなる。

物語が深くなるのは結構なのだけれど、展開が急すぎて唖然としてしまう。
まるで別のアニメのような。「ガンダム」に対して「Z」のような。
非常にシリアスな展開や「救える人類を救うため残りを見捨てる」というような
クリティカルな(そして見飽きた)選択肢もつきつけられたりする。

でえ、熱いアニメだから当然「気合ですべて救ってみせる!」という展開になる。
わかりやすいのはいいことだ。
地球に落ちてくる「月」を倒して第三部は終わる(急だなー話が)。



第四部にて、地球を救った主人公たちは銀河を救う戦いにでる。
でかさのインフレーション、ここにきわまれり。
銀河を投げたり星雲をぶち壊す戦いは仰天のひとこと。
ドラゴンボールで慣れており、しかも予想していたのにそれを気持ちよく超えてくれるから
あなどれない。

しかし第四部は色々残念なところがある。
謎の多い世界の物語を締めるために、非常に説明的なことが多くなったり
無理な展開が出てきたりする。
マスコットとしてうろちょろしていたモグラが重要な役目を担うところとか興ざめである。

話も最終的に落ちて解決されるのだけれど
無理に色々な謎に整合性なんかつけないで
「勢い一発!」で始めた第一部、第二部ののりのままで終わらせればよかったのに。
(私はついていけないけれど)
最後の敵の正体とか、無理に説明してくれなくてもよいし。


また、第四部の最大の残念ポイントは、演出家の都合で安易に仲間が死んでしまう点だ。
非常に急ぎ足で仲間たちが離脱していく。
人の死で物語に深みをつけようとする安易さはとても残念。


文句ありつつエンディングに至る。
エンディングはまぁそう落ち着いたか、という感じで特に不満もないのだけれど
演出が妙に下手。
こんだけ激アツ展開してきたドラマなのだから
いやってほどコテコテの演出で無理やりにでも感動させてくれるのかと思ったら
非常にあっさりで拍子抜けしてしまう。
せめてエンディング曲ぐらい変えればいいのに。



とまぁ文句の多い感想になってしまったけれども
ロボットがどっかんどっかんと大迫力の戦いをやってくれるので
見ていてスカッとする。
70年代くらいの巨大ロボットずどーん系が好きな人にはお薦めできそうだが
ガンダムエヴァのような深い物語性は全くない。
あと熱血ど根性気合で全部解決タイプなので、疲れてるときに見ると
迫力にやられるかもしれない。


それにしても密度の濃いアニメだった。
全27話。意外な短さの中にはものすごい量のストーリーが詰め込まれている。
これで45話とかあったら、面白くなかったときのショックはでかいが
ぎりぎり「満足」といえるランクだった。


でもやっぱりエヴァの方がよいなー。