消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

古賀茂明「国家の暴走:安倍政権の世論操作術」Audible

Audibleのラインナップにあった、ので手を出した。
普段はこのような政治的思想的な本は読まない。
なぜなら物凄く感化されやすいから。
よく無いなぁ…

軍事大国、列強国家へ向けて邁進する安倍政権の軍拡路線に、
なんとか歯止めをかけようとする筆者の熱意がうかがえる。
2014年後期の著作なので、
2017年の今読むと、当たっていたり当たっていなかったり。
その予言の確認はわりと面白い。

既得権益と軍事特需に対する警鐘に大きく紙面を割きつつ、
筆者の考える「より良い政策」を提案しているのだが、
なるほど確かに、と思わされる施策、政策なので、
こういう「当たり前のこと」を提案してくれる人が、
政治の実行力を持てないものなのかなぁ、とつくづく考えてしまう。
実際は政治家は選挙で選ばれる。
選挙の得票は、巨大な利権としがらみによって作られる。
そのしがらみの大きな力となっている、老人たちの票田によって。

民主政治は必ずそういう風になる、
と感じさせる。
正論や良作は通らない。
大きな利権があったら、
それを平等に分配する人間などおそらくいないのだ。
上が100を取り、下が10を取り、取り巻きが1を取り、
とにかく少しでも得を、利権を、甘い汁を求めてアリのように群がるのが人の本質。
上が100の利益を奪っていくことに「おかしいだろ!」
と正論の声を上げるよりも、
自分が1でも得できる方が嬉しいものなのだ。
ぶっちゃけ、そりゃそうだ。
正論より得があるなら誰だって得に流れる。

だから民主主義は理想的な政治スタイルではない。
人類は未だに、理にかなった完璧なシステムを作り出せずにいる。
チャーチルだったか。
「民主主義は最悪な政治だ。だがこれまでの最悪な手法の中では一番マシだ」とかなんとか…
イギリスのEU離脱の選挙を思い出すなぁ。

さてしかし、
軍事立国を批判し、
環境立国を提唱するこの本の筆者の提案には、かなり理がある。
であるのに、安倍さん含めて、
政治家たちはなぜ採用しないのだろう?
声が小さいのだろうか?
私もビジネスの企画を提案する側であるのだけれど、
この本の企画は非常に説得力があるから、
羨ましくて真似したい。

といった具合に、やはり簡単に感化されてしまう私なのであった。