消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

溝田明「本質を一瞬で伝える技術」Audible

タイトルに惹かれてAudibleでダウンロードした。
面白かったが、
本質を一瞬で「伝える」技術というより、
本質をしっかり掴む思考法と、
掴んだそれを相手と合意する方法、
あるいは訓練、思考法について書かれたビジネス書であった。

デザイン業界にて長く第一線で活躍された筆者の、
経験則と仕事のやり取り(取引先とのやり取り)のテクニックを書いた、
実践的なビジネス書、と思う。
デザイン業界においての、
特に製品や会社のロゴデザインの仕事を多くされてるので、
「本質をロゴに閉じ込める」
という、まさに一瞬で伝えるための仕事をしてこられた、
その経験則が延々と綴られている。
もちろんそれはロゴの作り方ノウハウではなく、
クライアントの意向、考えを如何に的確に理解し言語化するか、であったり、
クライアントから引き出す技術であったり、
果ては、クライアントが感じる、こちらの人間性の根本原理であったり。

デザインという仕事の枠を取り払って、多くの仕事に共通するであろう、
「人間の付き合い方」
についてべき論を語ったような本に感じられた。

いい事である。
ロゴを発注するのも人間なら、
そのロゴを見て何かを感じるのも人間である。
人間というものの思考や趣向やあり方を、業務経験に根ざして語ってくれるのは、
大変有用な指南である。

7つのC、というまとめ方で、
思考プロセスと注意注目する要点をまとめてくれている。
全てがすぐに出来なくても一つずつ、と本書内でもハードル下げて言ってくれてるが、
漫然と人付き合いするのではなく、
漫然と仕事するのではなく、
本質を捉えられるような思考になれるように、したい。

ただ…
「伝える技術」とはあったものの、
伝えることについては、それほど「なるほど」と言うことは書いてなかったように思う。
気がつかなかっただけかもしれないが。