消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

「効率化」の何たるかを分かってない人間たちを嫌悪する

トップレイヤーから「業務効率化しろ」という指示なり所信表明があって、

そうするとネコも杓子も効率化、なんて調子で、

「マルマルさんがやった方が効率的です」

「あの部門が該当の仕事を担当してるんだから、あそこにやらせた方が効率的だ」

なんてしたり顔で提案してくる奴らがいる。

 

無知で短慮な連中は、言葉の意味を自分の都合の良い解釈をする事に長けている、

つくづくそんな能力だけは長けている、と呆れ感心する。

どうしてそんなにも自分のタスクを減らすためなら、いかなる苦労も厭わないのか。

(その労力で一つでもキーをクリックすれば仕事は進むのに)。

 

よく聞いて欲しい。

仕事を早く、工数少なく終わらせるなら、

その通り、全部私がやった方が効率は良い。

ぜーんぶ、あらゆる仕事を。

私には、あらゆる仕事をあなた達より早く、スマートに、効率的に終わらせる自信がある。

そりゃそうだ。

私は優秀なんだから。

優秀な人間というのは、どんな仕事も上手くこなす。

また、優秀な人間というのは周囲も一目置くから、自然人脈ができ、的確なコミュニケーションパスでもって、まさしく「効率的に」課題を共有し対策を考えられる。

 

優秀な人間が仕事をやるのが一番効率的だ。

猿でもわかる。

猿山でも、働いてるのは2割だという。

優秀な存在というものは組織において2割しか発生しないのだ。

アリンコでもそうらしい。

パレートがその辺を解明してくれている。

 

ちなみに、

それで、

優秀で働き者の2割だけで組織を再編し、

8割の役立たずを駆除したりする。

それが一番効率的で優秀な組織になるはず、だからだが、

その実験をすると、優秀な2割だけで組み立てた組織の、その中の8割がサボり出すそうだ。

アリンコの実験でそうなるそうだ。

8割は、「必要悪」なのかもしれない。

 

さて話を戻す。

働き方改革してー」

「現状にしっかり疑問と課題意識をもってー」

「効率化をー」

上からそんな風に言われてるのだろう。

そして残業禁止、有給取得必須化を押し付けられ、

各自は懸命に考える。

「どうすれば早く仕事を終えられるか」

「残業なしで終わらせるにはどうすればいいか」

「どうすれば効率化できるか」

 

そりゃ簡単だ。

優秀な人間に仕事を回せばいい。

こちらが3時間かかるタスクを、彼らは1時間でこなしてくれる。

5人が3時間ずつ残業するより、

1人の優秀な人間が5時間残業する方が、よほどに余程に総工数は少ない。

これぞ効率化だ。

これぞ働き方改革だ。

「これとこれはKさんがやった方が早いから、彼に託した方がいいです」

「それはKさんの役割です」

 

かくして働き方改革は成り、

「優秀人員ブラック企業」とも言うべき構造下で、

8割の人間は「はー今日もよく働いた」と定時退社するわけである。

私は終わらない仕事を抱え、土日も持ち帰りで仕事をするわけだ。

取りも直さず優秀な人間というのは、

責任感と自己犠牲精神に富んだ人材だからだ。

逆説的に言えば、クズども…おっと失礼、一般の人員も、然るべく責任感と自己犠牲精神を持てば、

優秀な人に勝るということは無いかもしれないけれども、

劣らぬ働きと成果を残すことはできるものである。

 

…たとえ効率的でなくとも。

 

さて。

経営層や上位レイヤーが声高にのたまう「業務効率化」とは、どのような状態、どのような結果を指しているのか、

今一度ちゃんと正確に考えてみよう。

会社として望ましいのは、

「5人が定時退社するために1人の優秀な人員が残業過多になる状態」

だろうか??

どう思う?? わかる?? 何簡単?? ほんとに??

あなたの会社でも闇深く起こっていることなのに、「簡単自明」というのか?

 

よかろう。

計算上は、5人が3時間ずつ残業するよりも、

1人が5時間残業する方が工数は少ない。

15時間と5時間だ。

小学生でもわかる。

もう一つ、小学生でもわかることがある。

「凄く不公平だ」ということだ。

そして、責任感と自己犠牲に富んだ彼の人にとって、実は時間は有限だ(知らなかったでしょ?)

過剰な残業は彼の精神と肉体を蝕む。

行き着く先は、うつ病か転職だ。

彼がいなくなったら残った5人は慌てて3時間ずつ残業して業務を進める。

否。

優秀な1人が倒れてるので、彼の元々の仕事も引き継がなくてはならない。

こうして、工数5時間でこなしていた仕事は15時間、いや20時間以上の作業量に化ける事になる。

働き方改革は成立したと言えるだろうか?

 

では望ましく理想系はどんな形であろう。

先に…喩えたアリンコの例と矛盾してるかも知れないが、

「全員が優秀な社員レベルになってアウトプットを増す」ことが望まれているのだ。

理想的なのだ。

全員がスタープレイヤーになれば、チームの、部門の、ビジネスの推進力は、倍、4倍、8倍、

べき乗で上がっていく。

生産性と生産能力が飛躍的に向上していく…そう、

そうそう、これこれ、「全体の生産性が上がること」が、

トップレイヤーからの指示であり望みであると、説明しなけりゃわからないか君は??

 

「Kさんに任せた方が効率的です、彼が知ってるんだから」

 

こういうセリフを一度でも吐いたことのある人間が、どれだけ愚かでどれだけ浅はかか、

この辺りで充分に伝わっているかと思うけれども、

さらに追い討ちをかけておく。

「お前はいつ効率的に仕事をこなせるようになるんだ」と。

 

チームの生産性を上げるために、1人の能力を高くすればいい、と考える阿呆はいないだろう。

ドラクエのパーティで1人だけ集中的に強くして敵に勝てるだろうか??

4人全員強くしなけりゃボス戦で苦戦することは火を見るより明らかだ。

そして、強くなるためには何をするだろうか。

経験を積ませるだろう?

え? ドラクエの話かって?

どっちでもいいよ。

仕事のスキルを上げるのに、経験値積ませる以上に「効率的な」やり方ってあるのか?

 

さぁて、分かってもらえただろうか。

「業務効率化しろ」

という指示の正体と構造を。

業務を、効率化するためには、

一時5人が3時間ずつ残業して、15時間の工数を使う事態になるとしても、

その15時間で経験値を積ませ、

次のタスクは「5人が2.5時間ずつの残業」、

その次は「5人が2時間ずつの残業」と、

スキルが伸びてこなせる仕事量、生産性が上がっていく事こそが、「指示、指令」の正体なのである。

 

もちろん、アホな上司も中には居て、

「効率化して残業減らせ」という指示を出し、

優秀な社員だけが5時間残業した結果、

「残業累計は15時間から5時間に減りました」

と鼻高く計算するアホ、もいる。

そんな上司にはこのブログを読ませて頂くとして、

 

組織の、チームの生産性をあげなければ、真の効率化など訪れない。

それこそが業務効率化の目的地点でなくてはならないのだ。

 

この理屈が分かるか分からないかは置いておいて、

今回の流れの中で最初から信じられないほど間違えているポイントがある。

せめてそこだけでも万人に理解して頂きたい。

 

「Kさんに任せた方が効率的ですよ」

 

そう…

「お前の判断聞いてねぇ」

が1番の主要で重要なポイントなのだ。

なにお前意見言ってるの? という点。

 

上司というのは一般的にチームのケイパビリティを上げるために一重にも二重にも、

いや三重四重に施策を巡らせてるものである。

リーダーの最大ミッションは、育成、に他ならない。

チームメンバの個々人を育成して全体の生産性を向上する必要があるから、

チームを俯瞰的に観察し、

今後のシーンも予測して、

各自に仕事を振っているのである。

それに対して「いやその件はマルマルさんが詳しいから」

と意見する貴様、

貴様は何か、全体像が見えてるのか?

目的と到達点を意識してるのか? 出来てるのか?

「出来てる」と答えるなら、お前の居場所はチームメンバではない、リーダーだ。

そこで何をしている。

チームメンバーが取るべき態度は、

「タスクの再配布」ではなく、

「貴様のタスクを貴様自身の力で如何に効率化するか」への探究なのだ。

 

まず気づいて欲しい、心の底から愚かな事を言っているということに。

次のセリフを読んだら分かってもらえると思う。

中村俊輔が一人いればチームは勝てますよ」

…サッカー詳しくなくてもこれがどれだけ愚かな発言かが分かるはず。

あるいは「イチロー1人が頑張った方が効率的に勝てますよ」でも良いかもしれない。

お前はピッチャーの仕事までイチローに振ろうとしているのだ。

(実のところイチローは超優秀でピッチャーも見事にこなすそうだが…イチローだけでペナントレースは勝てないよね?)

 

それよりも、全員がイチロー中村俊介になる方が、余程に強いチームになりそうじゃない?

そんでお前は、振られた仕事を華麗にスルーした上で、イチロー中村俊介や私のようなスタープレーヤーになれるの?

いつなれるの?

 

チームメンバーが「チームと組織へ物申す」ほど滑稽なことはない。

お前の視座はそこには無いのに、座ってる場所から見える範囲のことで短絡的に発言してるのだ。

たちの悪いことに、彼はこう思ってる。

「…このリーダー、全然周りが見えてないなぁ。その件はマルマルさんが専門家なんだから、ちゃんとマルマルさんにやらせなきゃ。ほんと現場が見えてないなぁ」と。

呆れるでしょ?

でも十人中11人はこのように思ってるから。

「俺の方が現場と現実を知ってる」って。

 

かくしてチームは育たず、

メンバー各自は自分にできることを自分の範囲だけ行う、

歯車組織の出来上がりである。

歯車は自らは成長したり変化したりはしない。

自分だけが変化したら、歯車のサイズが変わって噛み合わなくなるからね。

過去経験で決められたことを知っているルールで動かすだけのチームが出来上がる。

…ほんとはあなたも、最初は素人だったはずなのにね。

3ー4年仕事やっただけでいっぱしにタスク割り振りに口出しするようになるんだから、たいしたタマである。

 

まぁしかし同情すべき要素もある。

上からの指示が悪いのだ。

上のビジョン共有がなってないのだ。

そんな大袈裟なもんじゃなくてもいい、

言葉の統一がなされてないのだ。

 

「業務効率化」って熟語が、そもそも間違ってるのだ。それに気づかずに効率化を口にする管理職こそが最大の罪人である。

だってたった一言、こう言えば良いことなのですよ?

その一言を「言えない」「言い忘れる」管理職こそ、腫瘍と言って差し支えないだろう。

すなわち「お前の作業を効率化しろ」

指示は正しくするべきなのである。

「各自の作業を効率化しろ」

「貴様ら一人一人がやれることを増やせ」

そういう事言ってるのである。

 

そもそも、チームメンバーに

「チームやビジネスや部門間の業務を効率化しろ」

なんて指示は出さないの。

お前が考えるべきはお前のタスクのやり方であって、チームや組織のことではないの。

なのに「組織としては知識のあるマルマルさんにボールを集中した方が効率的です」なんて、ね、

監督じゃないんだから、黙ってろ。

 

 

理想がどこか、何か、と前述したと思う。

理想は、全員が私くらいに優秀になる事、である。

全員が一人一人が、生産性を10%、15%、20%上げる事なのである。

パレートの法則はあるので、組織がいい感じで向上しても、それでもやっぱり8割はお荷物でしかないのかもしれない。

けれどもしかし、100 のアウトプットを出せる組織と、1000 のアウトプットを出せる組織とでは、

同じ「働かないアリンコ8割」であっても、その8割の価値は雲泥の差なのである。

 

さて、まとめに入る。

まず、アホな上司と経営層は「業務効率化」などと言う単語を以後禁句にし、

「各人一人一人の生産性を死ぬほど努力して上げた上で残業せずに帰れ」

と言い換えることだ。

そしてチームメンバーの諸君。

お前に託されたそのタスクは、お前の経験値を上げるために託された仕事なのである。

「僕は戦闘には参加しないので、強い人たちで戦って下さい」とか譲ってたら、お前のレベルが上がらないのだ、という事実に、言われるまで気づかなかったことを恥じて生きろ。

 

私から伝えたいのはただそれだけである。

 

 

 

※ 当記事中に「私」なる人物が登場するが、その存在はフィクションであり、記事作者個人とは何ら関係のない人物であることに注意して頂きたい。