消えかかる記憶の寝言3

渡るつもりなんてなかったのに、人生常々渡り鳥。カトウリュウタの寄港地ブログ。

ブルーマングループとゼリーとネコ

昨年12月から、ブルーマングループが来日している。
そしてサラリーマンのような通勤スケジュールで
公演を行っている。
ほとんど毎日。

「音楽ライブ」のつもりで出かけたのだけれど、
実際はミュージカルというか、吉本新喜劇というか、
「舞台」だった。
毎日上演するのもなんとなく理解できる。

逆に、音楽グループは、なぜせいぜい「3デイズ」とかなのだろう?
「二ヶ月連続武道館ぶっ通しで毎日ライブ」
とか、やってもよさそうな気がするのだけれど。

音楽というのは反復性の強い娯楽だから
成立するような気がする。
反復性の弱い映画というメディアも毎日上演しているのだから。

もっとも、ミュージシャンの体力がもてば、だが。


ルーマングループは、外国出身の、日本人ではない、何者か、だ。
顔と手を青に染め上げた、まばたきの少ない三人組だ。
説明に困るのは、彼らの多くが謎であり、
公演を見てきた今であっても、
「ありゃ一体なんだったのだろう?」という不思議さが残るからだ。

とりあえず一言確実に言えるのは、
どえらい、面白かった。

公演はいくつかのコントというか、ネタというか、
「実験」のオムニバスである。
ネタの内容は驚くほどわかりやすい。
シュールでもなければ芸術的でもない。
サーカスほど派手ではなく、
漫才のようなテンションもなく、
吉本新喜劇のようなギャグもない。

基本的にシンプルで、静かなネタがちりばめられている。

ルーマンの三人は、青い。
彼らはパーカッション・グループだ。
太鼓やらパイプやらでグルーブを生み出す。
バックバンドもついていて、これがまたかっちょいい音を出す。

曲もコントと同様、とてもわかりやすくて素直に聞ける。
やってることのわりに前衛的でもなく先進的でもなく実験的でもない。
ごくごくシンプルに気持ちいいところをハードについてきてくれる。
耳に心地よく体に気持ちいい。

ルーマングループの公演のちらし、およびサイトにはこのように書いてある。
MUSIC×ART×COMEDY

確かにそうかもしれないけれど、
アートとかミュージックとか、何か堅苦しいものを見せてくるような中身ではなかった。
「ニューヨーカーな吉本新喜劇
このくらいの表現が一番適当な気がするのだけれど。


公演中、舞台からゼリーが吹っ飛んできて、隣の女性を直撃した。
女性はずっと「痛い」と言っていた。
そのあと女性めがけてコロイド状になったバナナケーキがぶちまかれた。
「もうほんとヤダ」
彼女の感想はそんなところだった。
三列目の19番に座る人は注意した方がいい。
隣の20番は、そんな彼女の反応すら楽しめる良い席だった。

そしておまけとして、女性を直撃した暴力と破廉恥の塊のような巨大なゼリー。
これは私の手元に落ちてきた。
プルプルとしていて冷たい。
帰宅し、コタツで丸くなりながら、そのプルプルをめでていた。

寝て、起きたら、溶けていた。
気をつけて。
ネコがなめるから。